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翼は洸が立ち上がる前にレイアップを決めた。
洸「くそ、速いな…。」
洸がそうつぶやくと、翼は洸を見て言った。
翼「確かに俺は速い。だがそれ以上にお前は遅いんだよ。」
洸「あっ?」
翼「反応、ステップ、ロールから何まで、全体的に遅い。」
洸「くっ……………。」
洸は何も言えなかった。
何故なら、図星だからだ。
洸は力さえあれど、足の速さなどは極めて能力が低いプレイヤーなのである。
洸が自分のポジションを¨パワーフォワード¨と言ったのも、これに起因する。
翼「お前、本当はパワーフォワードじゃなくて、センターの補欠だったんじゃないか?」
洸「!!!」
明らかに動揺を見せた洸を見て、翼は言葉を続けた。
翼「図星か…。どうりでセンタープレーが下手くそだったわけだ。あんなのは、試合で経験を積んだセンターやパワーフォワードのプレーにはまったく届いてなかった。」
洸「……………。」
翼「もう止めよう。こんなの続けてもつまらない。洸くんには今日はお引き取り願う。俺達は練習があるのでね」
翼は洸にそう言い放つと、すぐにシューティングを始めた。
洸「…………。」
洸は無言で帰り支度を始めた。
八「お、おい!翼くん!あれは言い過ぎだろう!」
コートの横から真次が入ってきた。
翼「そうか?当然のことを言ったまでだが」
八「そうかもしれないけど!…辞めちまったらどうすんだよ…。」
武「それは仕方ないさ。今、洸は翼に言われた言葉が図星だったから帰ろうとしているんだ。もし、自分を変えたいと思うならまたここに戻ってくる。」
八「そうだけど…………。」
真次は俯いた。
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