百階の古塔~始まり~

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そういえば……生者は生者しか見えず死者は見えない、だが死者は生者も死者も見えると………。 誰に教えてもらったのかはわからないだが教えた人は「いつか役に立つ言葉だよ」 と言っていたのは覚えている。 なら俺はこの世界では生者か……。 そういえば『百階の古塔』とか書いてあったな……。 あれは何だろ? とりあえずそれらしき建物を探した。 ……………… 見つからない。 いったいなんなんだ 古塔ってどこなんだ? 「……私は案内人」 後ろからの突然の声に俺は驚いた。 反射的に振り向く。 すると………。 俺とそう変わらない歳の女の子が立っていた。 特に根拠はないが……人外だと思った。 「私はあなたの道しるべ……案内人、そしてあなたはこの世界での唯一の生者」 やっぱりそうか……。 ……君の名前は? 「名前?私に名前は存在しない、コードネームなら存在する」 コードネームは? 「夕」 夕? 「……そう」 そうか夕か……。 短い名前だな、いやコードネームか……。 「……じゃあ来て」 俺は言われるままについて行った。
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