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「昨日からあんまり寝てないんですよ。ほら、僕って士官スタッフですから」
あくびをしながら僕は言った。
わかった人はいるかどうかはわからないけど、僕の仕事は司令部の士官スタッフ。エリートなんだよ。はっはっはー、皆のもの我に跪け。
「あのですね、二尉はエリートじゃありませんから」
「え―っと人の心を読むのは止めてくれないでしょーか?」
ため息まじりの呆れ顔で言われても困るんですけど。僕の気持ちを知ってか知らずか話を続ける。
「あのですね~、早く朝食をとって下さいよ。予定だってあるんでしょ!」
あんたは僕の親ですかい!
「違います!」
「だから心を読むな! 読心術でもできるのかよ!」
……ダメだ。こいつがいると僕のペースが崩れてしまう。
僕は眠気眼をこすりながら差し出されたコーヒーをすする。
さっきから僕に説教を続けているのは、名前は香月望。自衛軍の女性兵士で階級は三尉。セミショートの髪型につり目でほっそりとした顔だち。なかなか発達した身体を濃緑色の士官服に身を包んでいる。いつもニコニコと楽しそうな笑顔を浮かべる、天敵でだ。ちなみに僕よりも2歳年下らしい(らしいというのも、自称だから)
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