卒業

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「美野里 夏休みと冬休みは必ず 聡と一緒に戻って来いよ。」 青木牧場の前で 美野里の家族や妹尾と一緒に  幸子と忍が見送りに来てくれた。 「うん 幸子さん 忍ちゃんあんまり甘えさせないでくださいね。」 「大丈夫 だいぶ自分の物は自分で片付けるようになったから。 クスクスッ」 幸子にいわれて 頭をかく忍 「そうね 忍ちゃん 最近ぱりっとしてるわね。 白衣もいつも糊付けされてるし 別人みたいね~~ <笑」 照れる忍をからかう 美野里の母。 何でもてきぱきこなしてしまう幸子と一緒に暮らし始めて いささか心配していたが おしりを叩かれながら ちゃんとしつけられているようで笑えた。 ワオン!オン オン 「福ちゃんも元気でね。」 寡黙だった福子も この町に来て 広い草原で走り回るうちに  活発になり だいぶおしゃべり(?)をするようになった。(笑) 「姉ちゃんこそ 先生にばかり 料理作らせるなよ。」 繁美が福子をしがみつくように抱きながら 無理に笑った。 「うん 頑張る。」 遠くに路線バスが見えてきて 聡と美野里は改めて見送ってくれた人々に御礼を言う。 「本当にお世話になりました。」 聡が頭を下げると 「先生 いや 松木さんが一緒に居てくれると思うと 実際私たちも安心です。 ふつつかな娘ですが よろしくお願いします。」 父も母も眼を赤くして まるで娘をお嫁に送り出すかのように しんみりしている。 「青木さん 美野里ちゃんは外国に行くわけじゃないんですよ。 私もゴールデンウィークには一度お店の様子を見に東京へいくつもりですから 一緒に行きましょう。」 「あれ 幸子さん 東京へは帰るんじゃなくて 行くってことになるのかな?」
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