第1話 プリンセス

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ドラキュラの涙には、伝説がある。 夜空に満月と北斗七星が重なり合う時、ドラキュラの涙(七色の輝きを放つ宝石)に、ドラキュラの純血を継ぐ者の血をたらし、満月の光にかざす。 そうすれば、奇跡が起きる。 「どんな願いでも1つだけ叶う」 と言う、奇跡が…。 この伝説をめぐり、これから現代で、血の雨が流れるほどの壮絶な戦いが起こることを、まだ誰も気付いていなかった。 現代…闇の世界ヴァンパイア帝国ドラキュラ城… 「ふあ~、よく寝たぁ~」 ボキッ!ボキッ!ボキボキッ!体を鳴らす。 「腹減ったなぁ~」 この女の子が、ヴァンパイア帝国プリンセスレイナ、ドラキュラの純血を継ぐ、ただ1人のヴァンパイアである。 人間で言えば、10歳の小学生位の女の子である。 「お~い、誰か血のスープを持ってきてくれ」 レイナが言った。 「はっ!かしこまりました」 家来が、すぐにスープを用意した。 「うまい!うまい!やっぱ、人間の血は最高だぁ~」 レイナは、元気いっぱい今日も、笑顔で血のスープを飲み干した。 「おーい、ドラド~!ドラド~!」 レイナが呼んだ。 「これから、夜空の散歩に行くぞ、ドラド!わらわに着いてこい」 「はい、レイナ様、お供致します」 ドラドは、笑顔でそう答えた。 このイケメンの男は、ヴァンパイア帝国最高司令官ドラド公爵である。 文武共に優れ、気品を持ち、父母を早くに亡くした、レイナにとって最も信頼する、ヴァンパイアである。 レイナとドラドは、お城の窓から満月と星が輝く、心地好い夜空に飛び立った。 「なあ、ドラド、我らヴァンパイア帝国王パパ様と王妃ママ様が、命をかけて人間から守ってくれたこの国を、わらわは、これから、どう守って逝けば良い」 レイナが尋ねた。 「王女レイナ様、今のままで良いのです、このままの平和で良いのです、人間と共に共存して、これからも生きるのです、ヴァンパイア帝国王と王妃様が残してくれた、平和をレイナ様が守り続けて逝くのです」 ドラドは、優しく微笑みながら答えた。 レイナが生まれてからは、平和が続き、ヴァンパイア帝国民は皆、王女レイナを平和の申し子と称えていた。 ヴァンパイアの生きる為の血も、今や人間から血液をお金で買っていて、闇の血液銀行がある。 ヴァンパイア帝国と人間界の国連とで、平和条約を結んでいる。 人間を襲わないと言う約束にて。 人間界では、国連の最重要秘密事項である。
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