10人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
ドラキュラの涙には、伝説がある。
夜空に満月と北斗七星が重なり合う時、ドラキュラの涙(七色の輝きを放つ宝石)に、ドラキュラの純血を継ぐ者の血をたらし、満月の光にかざす。
そうすれば、奇跡が起きる。
「どんな願いでも1つだけ叶う」
と言う、奇跡が…。
この伝説をめぐり、これから現代で、血の雨が流れるほどの壮絶な戦いが起こることを、まだ誰も気付いていなかった。
現代…闇の世界ヴァンパイア帝国ドラキュラ城…
「ふあ~、よく寝たぁ~」
ボキッ!ボキッ!ボキボキッ!体を鳴らす。
「腹減ったなぁ~」
この女の子が、ヴァンパイア帝国プリンセスレイナ、ドラキュラの純血を継ぐ、ただ1人のヴァンパイアである。
人間で言えば、10歳の小学生位の女の子である。
「お~い、誰か血のスープを持ってきてくれ」
レイナが言った。
「はっ!かしこまりました」
家来が、すぐにスープを用意した。
「うまい!うまい!やっぱ、人間の血は最高だぁ~」
レイナは、元気いっぱい今日も、笑顔で血のスープを飲み干した。
「おーい、ドラド~!ドラド~!」
レイナが呼んだ。
「これから、夜空の散歩に行くぞ、ドラド!わらわに着いてこい」
「はい、レイナ様、お供致します」
ドラドは、笑顔でそう答えた。
このイケメンの男は、ヴァンパイア帝国最高司令官ドラド公爵である。
文武共に優れ、気品を持ち、父母を早くに亡くした、レイナにとって最も信頼する、ヴァンパイアである。
レイナとドラドは、お城の窓から満月と星が輝く、心地好い夜空に飛び立った。
「なあ、ドラド、我らヴァンパイア帝国王パパ様と王妃ママ様が、命をかけて人間から守ってくれたこの国を、わらわは、これから、どう守って逝けば良い」
レイナが尋ねた。
「王女レイナ様、今のままで良いのです、このままの平和で良いのです、人間と共に共存して、これからも生きるのです、ヴァンパイア帝国王と王妃様が残してくれた、平和をレイナ様が守り続けて逝くのです」
ドラドは、優しく微笑みながら答えた。
レイナが生まれてからは、平和が続き、ヴァンパイア帝国民は皆、王女レイナを平和の申し子と称えていた。
ヴァンパイアの生きる為の血も、今や人間から血液をお金で買っていて、闇の血液銀行がある。
ヴァンパイア帝国と人間界の国連とで、平和条約を結んでいる。
人間を襲わないと言う約束にて。
人間界では、国連の最重要秘密事項である。
最初のコメントを投稿しよう!