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数日後…ヴァンパイア帝国武道館に、剣の音が鳴り響く。
キィーン!キィーン!キキィーン!ドバーン!
2人のヴァンパイアが、レイナの剣術にて、吹っ飛ばされる。
「おいっ!ウォッチにクリボ!その程度の腕では、この帝国は守れぬぞ!立てー!」
レイナが言う。
「それでは、姫!こちらも本気を出させて貰います」
ウォッチが、こう答えた。
「姫!手加減しませんぞ!」
クリボも、こう言った。
キィーン!キキキィーン!キキキキキィーン!
剣が弾け合う、凄まじい勝負だ。
到底、人間には見える速さではない。
「最初から、その意気で掛かってこい!小娘だと思って、なめるなよ!」
レイナが、こう言う。
ウォッチとクリボ、この2人の男は、ヴァンパイア帝国の騎士である。
数々の戦を乗り越えてきた、勇猛なヴァンパイアである。
レイナの護衛を任されており、いつも側に付いている。
レイナとの絆も、とても厚い。
剣術の稽古も終わり、レイナがニヤケながら、こう言った。
「なあ~、ウォッチにクリボ、わらわは、人間界に行って見たい!お前ら2人が見逃してくれれば、脱け出せる!なあ~頼むよ2人共!ねっ❤いいでしょ!すぐに戻ると約束するからさぁ~」
レイナは、カワイ子ぶってウインクまでして頼んだ。
「ひっ姫、そっそれだけは、ダメです」
ウォッチは、苦笑いしながら言った。
「気持ちは、解るけど、むっ無理ですよ、何かあったら姫に」
クリボも同じ様に、こう答えた。
「もう、いい、2人には頼まないよ!べぇ~だ!」
レイナは、プンプン怒りながら、こう言いその場を立ち去った。
それから、いつもの様に、何もなく、平和に過ぎていた日々の、ある日の満月と北斗七星が重なり合う美しい夜空の日のこと…
ひとりの家来が、慌てた様子で、ドラド公爵のもとに走り、こう叫んだ。
「王女様が、王女様が、何処を探しても居りませぬ!申し訳ありません!」
家来は、動揺し震え上がっている。
「なにぃー!!レイナ様が、レイナ様が、居なくなっただとぉー!!探せぇー!早くレイナ様を探さんかぁー!もし、レイナ様に何かあったら、お前らの首!!全員、跳ぶと思えー!!」
ドラドは怒りながら、こう大声で言った。
いつもは穏やかなドラドも、この時ばかりは、家来達を怒鳴り付けた。
そして、ウォッチやクリボ騎士達も、必死でレイナを探し続けた。
2人は、あの時の姫の話を思い出し、責任を感じていた。
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