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世界を元に戻して学校通いを再開して以来、俺たち三人はみんな帰宅部だということと家が途中まで同じ方向だということもあり、一緒に下校する慣わしになったのだ。
こいつらが熾烈な争いを繰り広げていたなんて、今の仲睦まじい様子から見れば遠い昔の嘘っぱちのようだ。
「ところで、もう十日も続いてますねー、ミソノちゃんの事件」
奈緒が人間に戻った。
いつもどおり、登校して机の中を見ると日課のように精液付着写真集が置かれているだけで、目新しい進展はないのだが、それでもこの魅惑の事件をどうしても会話に上せないと、誰もが気がすまないのだ。
俺たちに限らず、クラスみんなの話題のおよそ93%は美園萌絵梨ちゃんの連続ザーメン写真集事件についてのものだ。
残り7%に恋人たちの愛のささやきが含まれているとしても、そんなのは萌絵梨ちゃん関連のエキサイティングな話題に比べると、色あせた回覧板程度の面白みしか持たない。
「そうそう! そのことについて、素晴らしい提案があるんだけど! あの事件、ほっといたらいつまでも続きそうだよね。ここはひとつ、あたしたちが一肌脱いで解決してあげないといけないんじゃないかな?」
モモが厄介なことを言い出した。
「あたしはかりそめにも世界の統治者だったこともある女だし、だから立場上、こういう事件には率先して立ち上がらないといけないの」
統治を途中放棄したくせに、何をか言わんや。
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