ゆるっ娘モモちゃん 2 穢されたアイドル編

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「そんなの簡単!、一晩中教室で張ってればいいんだよ♪」 モモが惣菜パンを頬張りながら、事も無げに言った。 「でも、相手は男の人ですよね。ものすごい大男だったり、武道の達人とかだったりしたらどうするんですか?」 確かに待ち伏せは捜査の基本ではあるが、萌絵梨ちゃんの言うように、計り知れない危険が伴う。 「大丈夫だよ! こっちは四人もいるんだから。あたしは弱いし美園さんは顔に傷をつけられたりしたら大変だから後方に引っ込んでるとしても、奈緒はちょっとは強そうだし、あんまり、いや、全然頼りにならないけど、尾奈くんに楯になってもらえばいいんだから。あたしたちが逃げるまで敵を足止めするくらいならできるでしょ」 何か不名誉なことを言われた気がするが……聞かなかったことにしておこう。 モモは口から惣菜パンのかけらを撒き散らしながら、喋りに合わせて人を殴る真似をしたり、防御の構えみたいなポーズをとったりしている。 格闘の基本が全く成っていない奇妙な動きで、どちらかというと盆踊りっぽくて、同席している他三名のほうが恥ずかしくなるようなシロモノなのだが、モモはそんなことにはお構いなしだ。 これから遭遇するであろう出来事がよっぽど楽しみで、とにかくちょこちょこ動かずにはいられないのだろう。 「まぁ、心配するには及ばないよ。こんなひねくれて恥ずかしいことをする奴だよ、どうせたいした男じゃないよ。ということで、決定だね!」 ワクワク気分を全身で表しているモモを否定することなど、誰にもできなかった。 「いつも精液が乾ききっていないところから判断して、犯行は深夜以降に行なわれていると思うの。ちょっと早めに集まるとして、夜の11時に校門に集合ってことでよろしく♪ みんな、お菓子を忘れないようにね! それでは、あたしはいろいろ準備があるから一時撤収する。11時にまた会いましょう! ごきげんよう♪」 モモのお子様っぽい性分からして、『お菓子を用意する』ということを思いついて、いても立ってもいられなくなったのだと思う。 モモはそのまま早退し、夜の11時まで姿を現さなかった。
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