123人が本棚に入れています
本棚に追加
確かに凶暴だ。
だが討伐だけであるなら、それ程難しい依頼ではない。
しかし今現在の問題はそこじゃない。結局の所、この広大な砂漠で個体数の減ったバゲルフ自体を見つけられない事だ。
もうすぐ朝がやってくる。
陽が昇ればバゲルフは、砂漠の奥へと帰るだろう。その前にどうにか見つけたい。
生唾を飲み込み、耳を澄まし、バゲルフの臭いと足跡を探る。
地平線に太陽の光の筋が見えた。その方向に向かって風が足首を浚う。僅かに舞い上がる砂から何かが臭う酸味を含んだ独特の腐臭、獣の臭い。
風が吹いてる方へと続く先に動く黒い影。
見つけた。
最初のコメントを投稿しよう!