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『私…ホントはバスで通学なんてしないはずだったの』
『え……?』
震える少女の体。
溢した涙。
『…最近…事件に遭って…通学路を歩けなくて……』
事件?
少女にはツラいトラウマが
ある訳か…。
『よ…弱虫ですよね…こんな事で泣いたりして』
『違うよ。全然違う』
気付けば少女を
抱き締めていた。
『迷惑かけたくないのに…心配かけたくないのに…っ』
『……かけろよ。俺に』
冷たい体。震える少女。
本当なら、学校に通うのさえ
ツラいはずだ。
『ぅ…っふぇ……っ』
声をガマンして泣く少女の姿は
狂おしいくらい愛しかった。
『全部、言えよ。聞いてやるから』
『ふぇ…っほ…ほんとぉ……っ…?』
『ホントだよ』
安心させたくて
強く抱き締めて。
不安を取り除きたくて
耳元で囁いた。
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