閉鎖的な病院

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中に入ると病院独特の匂いが鼻を通り。 受付に看護士の女性が2人程座っていた。 鈴原先生は彼女達に話しかけた後、私に病院の説明をしてくれた。「立山先生、こんな山奥に病院があったなんて驚かれたでしょう?」 「ええ…ですがサナトリウムって知った時、納得致しました。」 「クス…そうでしょうね…ここは大分昔からあった病院なんです…肺炎や結核が、不治の病といわれていた時代からね…そこを私が改装して、今の状態になったんです…」 「なるほど…だから病院付近の山々は、人工的な感じがしていたのですね…」 「…病気を治すにはまず、綺麗な環境が不可欠ですからね…サナトリウムとはいってますが、普通の病院と変わりはありません。」 「……はぁ」 鈴原先生は私に病院の歴史やどこに何があるという事を細かく説明してくれた、その素振りひとつひとつが妙に艶っぽい。 「それで…鈴原先生、今回研究協力をして欲しいっていうのは一体なんですか?」 「ええ…こちらへどうぞ」 彼女は私を地下へ続く部屋へ招いた。 階段を降っていると外で感じた重苦しい雰囲気がずっしりとのしかかり、冷たい空気が漂っている。 周りも薄暗く、先程まで患者の話し声がしていたのに、聞こえなくなっている。 「ここです…」 鈴原先生がドアを開け中に入ると、消毒アルコールの臭いが一気に鼻孔を刺激した。 様々な生物がホルマリン漬けになっており、この異様な光景が院内にある事を思うとなんとも無気味な病院だ…部屋の奥にいくと、机のうえに瓶が置かれていた。 「これが、FAXに書かれていた新種のウィルスですか?」 「はい…最近私が見つけたものでして…恐らく菌類の類いだと思うんです。」 「菌類…」 それを見ると外見は甲殻類のような外皮に覆われ、膜のような羽根があり、頭には無数の触手が伸び、うねうね動いている、その異様な容姿に気分が悪くなり嗚咽をはきそうになった… 「クス…気色悪いんでしょう…私も発見したときはこんなのがいるんだ…って目を疑いましたわ……」 「しかし、何故これを調べる気に…?」 「ちょっと研究していくうちに非常に興味深い事がわかりまして」「興味深い事?」
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