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彼女は強くなる。そして、それはこれからも――。
……やれやれ。
私は、相変わらず無邪気に湯を掬うルナを見つめ、小さく肩を竦めた。
……良い子よね。
恋敵と呼ぶには自分の気持ちが曖昧過ぎて、漠然ともて余していたモヤモヤが、急激に晴れていくのを感じる。
強敵には違いないが、嫌なヤツが相手であるよりは、好ましい〈友人〉の方が、恋の鞘当てには適しているかもしれない。
……私も強くならなくちゃ。
指を鳴らしながら、私は膝立てになって言った。
「――さぁ、ルナ。今度はお姉さんが洗ってあげるわ! 隅々まで、隈なくね!」
立ち込める湯煙に、小さなシャボンが漂っている。
第四巻〈了〉
2013.10.28 21:15
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