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漂うオイルの香りに鼻を蠢かせ、懐かしいガンオイルの匂いをかぎ分けた俺は、そこが彼等の武器庫であることを知る。
「……歩け。妙な真似すんじゃねぇぞ?」
パットが低い声で促す。
俺は無言で頷き、光の方向へと脚を進めた。
ラックの太い鉄筋に阻まれて良くは見えないが、逆光に慣れ始めた俺の瞳には、フロアに横たわる愛騎〈ルーク・オブ・ドラグーン〉の鋭角なシルエットが映っているのだ。
「作業艇じゃねぇよな?
かと言って小型シャトルや実験船でもねぇ。
……なんだこりゃ?」
テッドはルークの間近で振り返り、親指で背後を指し示しながら、トレードマークの黒いサングラスを下にずらした。
……ハイブリッド義眼か。
ネット端末としての機能を付与された白い球体。
どこを向いているのか判らない瞳に、俺はどう映っているのだろうか?
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