辺境騎士団

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……記録映像じゃない? クローズアップされた壇上には、浅黒く日焼けした肌、パサパサに褪色した金の髪。 ――そして。 右目の下に疾る、白くひきつった傷痕。 『喪われた総ての犠牲者を!奪われた大地を!私は悼む。 死線を共に潜り抜けた兵を!友を!私は忘れはしないだろう!』 俺は驚愕のあまり、チビたマールボロを唇から取り落とした。 ……こ、これは? 鏡の中で見知った男が、壇上から集まった大群衆を睥睨しつつ声を震わせた。 『……おめおめと生き延びた私を赦して欲しいとは思っていない。 我がティタノマキナ聖堂騎士団の名誉と誇りに泥を塗り、恥辱にまみれた私は、既に生者に列することを良しとはせぬ。 ……人類の存亡を賭けた闘いに、敗北は許されぬのだ! 私は再び自ら死地に赴き、友の眠る大地に、この肉を!この骨を!この血潮をぶちまけ、新たなる人類の礎を築くだろう!』
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