7016人が本棚に入れています
本棚に追加
……記録映像じゃない?
クローズアップされた壇上には、浅黒く日焼けした肌、パサパサに褪色した金の髪。
――そして。
右目の下に疾る、白くひきつった傷痕。
『喪われた総ての犠牲者を!奪われた大地を!私は悼む。
死線を共に潜り抜けた兵を!友を!私は忘れはしないだろう!』
俺は驚愕のあまり、チビたマールボロを唇から取り落とした。
……こ、これは?
鏡の中で見知った男が、壇上から集まった大群衆を睥睨しつつ声を震わせた。
『……おめおめと生き延びた私を赦して欲しいとは思っていない。
我がティタノマキナ聖堂騎士団の名誉と誇りに泥を塗り、恥辱にまみれた私は、既に生者に列することを良しとはせぬ。
……人類の存亡を賭けた闘いに、敗北は許されぬのだ!
私は再び自ら死地に赴き、友の眠る大地に、この肉を!この骨を!この血潮をぶちまけ、新たなる人類の礎を築くだろう!』
最初のコメントを投稿しよう!