辺境騎士団

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……い? にこやかに笑って見せた唇を凍りつかせ、俺は鳴らした指ごと凝り固まった。 「俺達もボランティアじゃねぇからな? 救助作業とオーバーランに掛かった経費は回収しなくちゃならん、まして、俺達の輸送船は派手に傷んで、次回の契約を破棄しなくちゃならないんだ。 莫大な保証料と、業務不履行の違反金……。」 「――ツケを回せる〈アテ〉があるって言ってたよな?」 テッドの言葉を引き継いで、パットは酷薄な笑みを浮かべた。 「コイツが請求書の写しと内訳だ。 軍閥と防疫戦線には、いつもやられっぱなしだからな? たまには、ガッツリ儲けさせてもらうぜぇ?」 いつの間に近付いたのか、ローラはクリップで留めた請求書の束で、俺の頬をヒタヒタと叩いて笑った。 ……おいおい。
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