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……くそがき!
好奇心丸出しの笑いが、窓に映った私の影に重なる。〈男〉の横顔どころか、只の色ガキになりさがったにやけ顔で、跳び跳ねるように逃げて行った後ろ姿。
――!
思わずパンプスの先で壁を蹴り上げた瞬間、背中でドアの開く音がした。
「……どうかしましたか?」
憂鬱の権化。
彼女のお陰で結構な待遇が受けられるのは事実だが、その存在故に、私は常に好奇の目に晒され続けているのだ。
「……いえ、なんでもありません!」
振り返って最敬礼。普段は間違ってもしないし、傭兵である私達には求められてもいないが、ルナの後ろからは救助した難民の代表団が姿を現したのだった。
「では、私達は皆のところに戻ります。」
無精髭と胡麻塩頭を何度も下げて、リーダーらしい年寄りがルナに声をかけた。ぞろぞろと通路を行く代表達の表情は疲れきっていて、一様に暗い。
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