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いかにもな声真似をして、ルナは無邪気に笑った。
「その人……。」
「……うん。」
振り返った私の前で、紅い瞳が潤んでいた。
「ホントに子供が好きだったんだと思う。怖かったけど、理不尽な叱り方をしたり、八つ当たりしたりはなかった。おかしな言い方だけど、絶対に私達を子供扱いしなかったもの。一人の人間として、常に対等な存在として見てくれた。モルモット同然の私達を、一個の存在として見てくれた初めての大人だったのよ。」
ルナは白い髪を湯船に漂わせながら、肩まで身を沈めた。私は、躯の向きを替えてバスタブに背中を預けて座る。
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