11人が本棚に入れています
本棚に追加
駐車場の側まで行くと眩しい光が杏樹を照らした。
光の先を見ると見覚えがある車が停まっていた。
「…慎ちゃん。」
車から香川が降りてきた。
「…まだ電気付いてたから。」
私は心の中まで光で照らされたように感じた。
「…送るよ、杏樹。」
杏樹は持っていた荷物を手から離し、溢 れ出る涙を手で抑えた。
「慎ちゃん…ごめんね…ごめん…なさい。」
涙を止めることは出来なかった。
次々に大粒の涙が溢れてきた。
香川はいつもの大きな手で杏樹の頭を撫でた。
「謝らなくていい。
杏樹は何も悪くないから…。」
香川はその温かい手で杏樹の涙を拭った。
最初のコメントを投稿しよう!