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2010年春、私は自分の母校である高校に勤務することになった。
高校といっても教師としてではなく、学校事務の方である。
大学時代に知り合った人の勧めであった。
「おはよう。」
朝から緊張気味の私の後ろで声がした。
香川慎一郎である。
香川とは大学時代にゼミの教授を通して知り合った。
この仕事を勧めてくれたのも香川だった。
「なに、緊張してるの??」
私たちは学校までの道を歩いている。
深呼吸をするたびに春の味がする。
「だって…」
二人の横を制服を着た子が通り過ぎて行った。
私は香川を見上げた。
「今朝、アイツに会ってきた。」
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