近くにいること、心の中身

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直樹が自分の結婚観を熱く語っていたので、杏樹は少しの間席を離れた。 「…美並ちゃんって何でも分かってますね。」 直樹は杏樹の席を見ながら話した。 「…お前もな。」 香川は直樹を見て呟いた。 「ホントは美並ちゃんと…って思ってるんでしょ。」 いつの間にかお店のお客は減っていた。 「お前は俺のコトなら何でも分かるんだな。」 冗談混じりで香川に返された。 真剣に答えない香川に直樹はふてくされた。 「…正解。」 飲んでいたグラスを香川はカウンターに置いた。 「…亨に嫉妬してた。死んだ今も…。」 直樹はさっきと同じものを作りながら話を聞いていた。 「杏樹が弱っている姿を見ると…理性がぶっ飛ぶっていうか…俺も小さい男なんだ。」 直樹はそっとグラスをカウンターに置いた。  
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