11人が本棚に入れています
本棚に追加
「梶先生?!」
梶先生は私の担任ではなかったが、よく相談にのってもらっていた。
そのせいか、私はこの先生が好きだった。
「お久しぶりです。」
昔の事を思い出して少し恥ずかしかった。
「初めまして。
香川と申します。」
大人の二人はお互いに挨拶を交わしていた。
私の頭の上でやり取りをする二人は、
学生気分が抜けきれていない私にとって“大人”そのものだった。
「美並が体育館で挨拶してるから驚いたよ!!元気そうだな。」
高校時代、先生を好きだった事を思い出すと、昔のように話せなかった。
「また話聞かせて!!夜来るだろ??それじゃあ。」
梶は走って教室に向かった。
「夜って歓迎会でしたね。絶対出なきゃだめですか?!」
私は梶と上手く話せる自信がなかった。
恥ずかしさが前に出てしまう…。
「嫌われたくなければね。」
香川はまた大きな手を私の頭にのせた。
「俺も行くから。」
私はその言葉でスッと気分が晴れて行くのがわかった。
最初のコメントを投稿しよう!