一本目

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髪の長い少女を追いかける。 「・・・っぜぇ、ぜぇ・・・っ」 数十メートル先を行く少女は難なく登っていくが、学校へ続く坂はかなり傾斜が激しいうえ、長い。部活動に所属していないゲーマーの体には、かなりキツかった。 「ぜぇ・・・、っぜぇ・・・くそっ・・・!」 それでも必死に少女を追いかける。月明かりを反射して黒く光るそれは、一瞬でも目を離せば、闇に紛れて見えなくなりそうだ。 少女は校門を飛び越え、校庭に入っていった。 「・・・飛び越える、なんて・・・アリ、かよ・・・」 オレも、全力で校門をよじ登る。 「よっと・・・と、ととっ!?」 ちょ、右足が校門に・・・!? ビターン! 顔から地面に落ちる。衝撃で、ハンチング帽がとれてしまった。 「っててて・・・っ!?」 チキッ 「動かないで」 目の前には先ほどの少女が。そして、オレの首には日本刀の様なものが突きつけられていた。
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