一本目

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オレの名前は伊都 主人(イツノ シュウト)。何処にでもいる、フツーの高校二年生だ。 ・・・多少変な特技や趣味があったとしても、こういうのは「フツーの」って言っておくもんなんだよ、たぶん。 そんなオレはゴールデンウィーク最終日の爽やかな朝に、16年間生きてきた人生の中で間違いなく「なんでそうなるんだよランキング」に断トツナンバーワンでランクインされるであろう出来事に直面している。 この心境は、ニュートンが落ちるリンゴを見て万有引力に気づいた時のものに似ているかもしれない。 いや、ネコが小判を発見し、「これ、爪研ぎに使えるんじゃね!?」などと考えている時のものかもしれない。 つまり何が言いたいかというと、何が言いたいか分からなくなるくらい動揺しているということだ。 そして、この脳内エラーの原因となった、謎の物質ZZを改めて見てみる。 長さは15cmくらいあり、某スポーツ用品会社のトレードマークを逆さにしたような形をしている。あ、ネコ科のヤツじゃないぞ。 触れてみた。 「フニッ」 意外と弾力があり、かつ柔らかいでありますです、大佐。 先っぽの尖った部分もいじってみる。 「ビヨン、ビヨン、サクッ」 「痛ぇっ!?」 先端部はとても鋭かった。 指先から赤い雫が滴る。 「むむぅ・・・」 これまでのデータから、オレの頭のスーパーコンピューターがひとつの結論を導きだした。 これはそう―――
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