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スーパーへ行った帰り道、オレは国道沿いにガリ○リ君をシャクシャクしながら歩いていた。無論、ソーダ味である。コーラなど邪道だと、オレは思う。
見上げれば蛍光灯、左手側には車のヘッドライト、前方には親子連れとカップル、そしてそれを見て小さく「リア充爆発しろ!」と呟く我が同胞と、夜の割には明るく賑やかだ。やはり、まあまあの都会なのだと思う。
オレが住むこの町は、神代市という。坂の上にある神代神社の門前町として栄えたらしい。
今は、田舎と都会の良いところを集めた様な住みやすい町だ。気候も比較的穏やかで、冬に少し冷え込む以外は、これといって特筆すべきことはない。
そして、オレの通う学校はその神代神社のすぐ隣にあり、名前は神代市立第二高等学校、略して神二高という。一応、県内トップの進学校ということになっている。
神代市の北部には高天山(タカマヤマ)、南部には葦川(アシカワ)があり、東部が市役所や駅、モールが立ち並ぶ都心部、西部が学校やアパート、マンションの集まった住宅地だ。
ちなみに、我が家は神代神社前で左折して500mのところにある。
「・・・」
「・・・?」
誰かの視線を感じる。
オレが学校へ続く坂の前を見上げると、そこには髪の長い少女が立っていた。
暗いせいで顔がよく見えないが、着ているのはうちの学校の制服だろうか。その相貌は、猫のように紅く闇夜に輝いている。
目があった。
少女は、身を翻して学校の方へ走っていき、しばらくして立ち止まり、振り返った。
(・・・ついて来い、ってことか?)
いずれにせよ、オレは学校に忘れてきたゴールデンウィーク中の宿題を取りに行く予定だったのだ。
別に、あの娘が少し可愛かったとか、そういうことは関係ない・・・うん、関係ない。
オレの足は、少女に導かれる様に学校へ向かっていた。
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