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「遅いよ翼!」
「仕方ねぇだろ、それにお前は早すぎんだよ」
あたしが早いんじゃなくて翼が遅いことを何で認めないの。
翼のお母さんが翼の後ろから前に来る。
「何言ってるの翼、あなたが悪いのにそうやって言うんじゃない。せっかく迎えにきてもらってるのよ」
「うっせぇな、俺が頼んだわけじゃねぇよ。こいつが来たいっつーから」
お母さんにこんな態度とるんだ。少し叱っておかなきゃな。
それにあたしの事をこいつ呼ばわりしたし。
「とにかく行ってくる」
翼はそう言ってあたしの手を引っ張った。
ちっと痛いけど嬉しい。
翼が私の手を握ってくれてるんだ。
いつまでもあたしの手を握っててほしいな。
だがそんな願いは駅に着いて壊された。
せめて学校行くまで握っててくれればいいのに。
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