佳奈編 惨劇の始まり

8/12
前へ
/12ページ
次へ
「遅いよ翼!」 「仕方ねぇだろ、それにお前は早すぎんだよ」 あたしが早いんじゃなくて翼が遅いことを何で認めないの。 翼のお母さんが翼の後ろから前に来る。 「何言ってるの翼、あなたが悪いのにそうやって言うんじゃない。せっかく迎えにきてもらってるのよ」 「うっせぇな、俺が頼んだわけじゃねぇよ。こいつが来たいっつーから」 お母さんにこんな態度とるんだ。少し叱っておかなきゃな。 それにあたしの事をこいつ呼ばわりしたし。 「とにかく行ってくる」 翼はそう言ってあたしの手を引っ張った。 ちっと痛いけど嬉しい。 翼が私の手を握ってくれてるんだ。 いつまでもあたしの手を握っててほしいな。 だがそんな願いは駅に着いて壊された。 せめて学校行くまで握っててくれればいいのに。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加