第三章 お色気先輩

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不思議そうに首を傾げる二人の様子に慌てて教科書を抱えて駆けて行けば二人の後をついて行った。 「沢田さ、お前もう人気出てるみたいだぜ?」 「え…?なんでだろう…」 「この学校の初めての男子なんですから…噂も流れ始めているでしょうし…」 「まあ、沢田は顔も悪くないし人気出るのは仕方ねーって!」 「そうなのかなぁ…」 確かに綱吉の顔は悪くはない。少し幼く標準の男子と比べれば可愛らしい顔に見えるし、身長も低めなので中学生に見えない時もある。実際昔は良く小学生と間違えられたこともあったくらいだ。 教室移動が終わると黒板に書かれている座席表を見て席につけば先に居た女子から声を掛けられる。 「ねぇねぇ、沢田君ってさ…何かスポーツとかはやってたの?」 「やってた…って言われても…、部活は入ってなかったけどたまに友達とサッカーしたりとかはあったよ」 「へぇー…じゃあ足とか速かったりする?」 「どうかな?良くわからないや」 こうして女子に囲まれながら話をするのは綱吉は慣れてはいなかったが、前の学校でも友達は結構早くに出来ていたので人と話すことには慣れていた。 「あ、そーだ…大事なこと聞くの忘れてた」 「ん?何かな…」 「彼女はいるの?」 その質問をすれば周りからは「それは私も聞きたかった」などの言葉が飛び交う。綱吉は思わずXANXUSのことを想像してしまい頬を赤く染めこくりと頷くと、「私狙ってたのに」と女子の残念そうな声が響き渡った。どこまでいったかと詳しく聞き始めようとしたところに調度先生が来たのでなんとかその質問は回避できた。 綱吉は安堵の息を漏らせば未だ高鳴った胸を落ち着かせようとしばらく深呼吸を繰り返していた。 きっと綱吉の噂が流れたのが早かったように彼女がいるという噂も早く流れるのだと思うとどこか気恥ずかしくなり赤く染まった頬を隠そうと綱吉は俯いたまま授業を受けたのだった。
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