案内狼のクロム

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クロムはある所で足を止めた。 そこは、オレが初めてコチラに来た時の場所。 木々に囲われた、小さな野原。 パチンッ・・・ クロムが中指と親指で音を鳴らす。すると、フヨフヨ浮かぶ、薄ピンク色の(運動会の時に使う大玉くらい)大きい球体が現れた。 大きなシャボン玉みたい。 『何あれー』 くぃくぃ。 クロムの服の端をひっぱって、聞いてみる。 「あぁ。アレを通ってレオを所行くんだ。」 ここは異世界なのだから、当たり前な事だけど。 オレの常識は全く通じない。 オレから見ると、コチラのモノは色々と便利だ。 そう。 某、青狸を彷彿させるくらいに。取り出しポケットしかり。 「で、だ。 夜斗は何をくれるんだ?」 『ん?』 「通行料の事だよ夜斗。」 『通行料かぁ・・・』 「あぁ!ボクは、 マッチョリスの前歯をあげる! この前、悪戯を仕掛けたら、とれてしまってね。頂いてきたのさ!珍しいだろう?」 ベルはクロムに、人間の歯より少し大きめの歯を渡していた。 てか、前歯って、通行料になるんだー。不思議。 「ベル、お前も来るのか?」 「勿論さっ!ボクの可愛い夜斗をクロムと二人きりにさせるワケにはいかないだろう!? いくらヘタレと言ってもキミは狼だからね、心配なのだよ!」 「オレはヘタレじゃねえっ!」 「しかも、レオに会うんだよ! 夜斗なんて、レオにマルッとペロッと食べられ(犯され)てしまうよ! あぁ、ボクの夜斗がっ!! 何としてでも阻止しなくては! 夜斗の純潔は汚させないよ!」 「オレの事はムシか。」 ベルはすぐに、自分の世界に入り込むって、前々から知ってたけど。 (ムカつくぜ、コイツ。) ++
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