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「さぁ、行こうか!」と、やけにハイテンションで腕を引かれるので、とりあえずベルに着いて行く。
もう一度言うけど、オレ、休憩してたんだよ?
座った途端に話しかけられたからさぁ……。
『なぁー、ベル。
疲れてるから、少し休みたいんだけどー……。』
オレがそう言うと、ベルは満面の笑みを浮かべた。
(きんもー)
「大丈夫さ!ボクにお任せあれ!」次の瞬間、ベルに抱き上げられた。
乙女が夢見るアレだ。
お姫様だっこ。
いくらオレが細いからって、165㎝以上ある男だ。
重くないワケがない。
『重いだろ?降ろした方が良いよー?』
「夜斗は軽いよ!それに湖も近いし安心して!」
安心できる要素など無い。
ベルが安心ならないワケではなく、今の状況に、だ。
まず、ココがドコだか知りたい
「夜斗、湖についたよ!」
ココは何県だか聞こうと口を開こうとしたら、ベルが先に口を開いた。
ベルが案内してくれた湖は、オレの常識の中では湖と呼べるものではなかった。
思っていたより小さな湖は、学校にあるプールくらいの大きさだ。
湖の色はすき通った茶色。
湖の水を飲むのも躊躇われるねに、茶色をしていたら尚更、飲む気が失せてしまう。
ベルはドコから出したのかわからないが、水をカップですくい一口飲んだ。
『夜斗!今日はカモミールセイロンみたいだよ!』
湖の正体は紅茶らしい。
そんなバカな。
しかもベルは「今日は、」と言っていた。
「何で「今日は」なのー?」と、聞いたら「湖は気まぐれなんだよ」と教えてくれた。
どうやら、湖の気分次第で味が変わるのが、ココの常識らしい。
本日、2回目の、
そんなバカな。
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