八年が過ぎて

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このように命をかけるだけあって、遺跡で見つけた宝はかなりの値打ちで取引される。 そうやってテオバルトはこれまで生きてきたのだ。 「ふっ、はっ、ほっ」 罠は次々とテオバルトを襲う。 だが、テオバルトはそれらをものともせずに簡単に避け、その罠を次々と破壊していく。 もちろん、素手ではない。それはいつの間にか手に持っていた黒い棒でだ。 これは先程までは背に背負っていたため、ローブに隠れていたのだ。 「うーん、今日も相棒は調子いいな」 飛んでくる矢やらなんやらをそれで叩き落しながら、テオバルトは呟く。 相棒とはこの黒い棒のことだ。 これは、ただの棒ではない。昔、ある遺跡で手に入れた古代兵器なのだ。 その能力とは、伸縮自在だ。 「伸びろ!!」 そうテオバルトが叫ぶと棒は物凄い勢いで伸び、その先にある罠を破壊した。 この武器の名は…………破輪杖、テオバルトが名づけたものだ。
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