生まれた忌み子

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重々しい鎧が立ち並ぶ荘厳な廊下を早足で進む。 エリーアスにこのような鎧を集める趣味はないのだが、先代が雰囲気を出すために買ったらしい。 エリーアスにはただ邪魔なだけだ。 いつもはこの廊下を歩くとき、鎧に悪態の一つもつくのだが今はそれよりも我が子のことが最優先だ。 「アマリア、頑張ってくれ」 歩きながらエリーアスは祈るように妻の名前を呼ぶ。 「ああ、何でこの廊下はこんなに長いんだ!!」 自慢の肩まで伸びた金髪をなでつけながら悪態をつく。 今日に限ってそう感じてしまう。 そんな長い廊下も終わりを告げ、幾人かの使用人達がせわしなく出入りしている部屋が見えてきた。 「お前達、どうなっているんだ!?」 興奮のあまり、少し大きな声が出てしまう。 「当主様、いま少しだけお待ちを」 それだけ言うと、使用人達は部屋に入って行き、そのまま扉は閉じられた。
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