生まれた忌み子

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そして、遂に妻の下にたどり着いた。 「……抱いても?」 エリーアスは震える声で妻に聞いてみる。 「ええ、どうぞ」 そう言って赤ん坊を夫に差し出す。 エリーアスはそれを受け取ろうと手を伸ばすが…… 「あなた、そんなに手が震えていたらこの子を落としてしまいますよ」 エリーアスを見ながらアマリアは苦笑する。 「す、すまない」 そう言って深呼吸をする。 「よし、頼む」 何とか震えを押さえてもう一度手を伸ばす。 そして、今度こそ我が子をその手に抱いた。 だが、すぐにアマリアに返してしまう。 「どうかしましたか?」 「私が抱いていると、壊れてしまいそうだ」
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