◎泪の季節…

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あの日の 帰り道、 俺は 目の前にある 背中が とても小さく見えて 気が付いたら その小さな背中を 壊れてしまわないように… そっと…そっと 抱きしめていた。 案の定、 我に返った 愛川に 強烈なグーパンチをくらう ことになってしまったが、 俺は 後悔していない。 あのとき ああしていなかったら たぶん… たぶん 愛川は…いや 直は 泣き出していたと思うから。 そしたら 俺には その 涙を止められない。止めることは出来ない。 だから あれで よかったんだ。 それに あれだ! 直から 本当のことも聞けたしな!! 俺を 殴った勢いのまま すべてをぶちまけてたな。『遊園地の日 お前らが トイレなんか 行っちゃうから その間に 告白して 振られたんじゃー!!!!』 てな 感じでな。 そのあとも 悲しい表情したかと 思ったら いきなり キレだして 『ばか ばか ばか! 全部 あんたのせいょ!? あんたが トイレなんかいくから!!~』と 話せば長くなるので 省略させてもらったが 延々と理不尽な理由で叱られていた。 で、最後の最後に 『~~っ!!だっ抱きしめてきたことは 許してあげるわ… そのかわり 愛川じゃなくて 直って 呼ぶこと!!じゃぁね』 赤面しながら 走り去っていく 直の背中に 俺は、 『すなおー!!おやすみぃ~!』と 声をかけた。 そのとき、直が 一瞬 振り返ったような 気がした。
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