…二…

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それに比べて! 実戦部隊の不甲斐なさに、ロベルトはあげかけた怒声を、奥歯で噛み殺した。 ここに配備しているのは素人あがりのチンピラ連中ではない。 軍隊や軍警察などから現役、退役を問わず経験と能力で選んだ精鋭だ。 いや、だったはずだ。 手元のモニターに転送されてくる情報は一秒毎にロベルトを不愉快にさせる。 この時間、城に配備に就いているのは十個小隊。 他に待機の五個小隊がある。 既に二個小隊の全滅が確認され、更に一個小隊が通信途絶状態になっている。 これを通信機の不調だと思える程、おめでたくはない。 既に戦力として当てに出来ない状態になっているはずだ。 「B-1~5小隊、行動を開始」 オペレーターの報告で、待機していた五個小隊が出動命令を受けて順次行動を開始したのを知った。 これで城内の実戦部隊は出払った事になる。 正直、このカードを切るはめになるとは想定外だった。 「外の連中はどうなっているか?」 ロベルトは市街地や主要道路に配置していた人員の動向を確認。 「各隊、こちらに急行中!20分程度で先行隊が到着の予定!」 軍事経験者ではないが、それなりに荒事に慣れていて、何より市井に根を張った活動の出来る連中だ。 不審者の発見には最適と配置したのだが、その網は見事にくぐり抜けられた。 相手の行動が巧みだったのは事実だ。 だが、それは相手が極少数である可能性が高い事を意味していた。 どんなに巧妙に行動しても、ある程度の人数が一つの目的の下で動けばそれなりの痕跡が残る。 恐らくは多くても二、三人。 ただし、技量に相当の自信があるプロだ。 こちらの精鋭を手玉に取る程の。 ならば、こちらは数で対抗するしかない。 攻めて攻めて、相手の疲労や消耗を誘うしかない。 戦いとは、最終的には数が制するものだ。 侵入時には不覚を取ったが、ホームでの戦いだ。 相手の小細工に不意を衝かれる可能性は低い。 「体制を立て直せ!防御を徹底させろ!」 落ち着いて人数を以って囲い込み殲滅。 それはロベルトの経験から間違いのない理論であった。 「A-1と3の両小隊会敵!交戦開始しました!」 オペレーターの声に手元のモニターを確認。 植物園の近くに戦闘開始のサインが表示される。 予想以上に進出されている事に驚かされる。 「残りの小隊すべてを急行させろ!」 ロベルトの怒声混じりの命令が室内に響いた。
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