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クリフの声色を真似てシャオリーは言った。
脅迫めいたセリフだが、戦争に行かなければ捕まえるとでも言われたのだろうか。
「クリフさんがそんなことを……」
フィリアは少し悲しげな表情を浮かべ、そしてユリウスも申し訳なさそうにうつ向く。
「ごめん……無理に引き止めたせいで巻き込んじゃって……」
あのまま別れていればシャオリーは戦争に参加せずに済んだのに。
そんな思いがユリウスの胸を締め付ける。
だが、シャオリーは平気そうな顔をして鼻で笑った。
「気にすんなよ。戦争なんてのはさすがに初めてだけど、戦うのは慣れてるから。その剣が斬れなかったせいでお前が死んだら、俺もやりきれねぇしな」
そう言われ、ユリウスは腰に携えた剣を見た。
未だに試したことはないが、こんな剣で戦うのははっきり言って不安だらけである。
「そうおっしゃって頂けると助かります。ありがとうございます、シャオリーさん」
責任を感じてフィリアは申し訳無さそうに眉を寄せていたが、礼を言うと少し笑みを浮かべた。
だが、やはり何処かすっきりとしない思いを残してしまう。
それはユリウスも同じだった。
星空を見つめていたシャオリーは、顔を伏せると深く息を吐いた。
そして、冗談めいた口調で二人に言った。
「この城を見渡しても戦争を経験してるのはフィリアちゃんだけだよな。こうなったら、総指揮官殿が死なないようにみんなで特訓するか!」
明るい口調で言って手を前に出したシャオリーを見て、ユリウス達は顔を見合わせた。
本人が気にするなと言っているなら、わざわざ思い詰めてしまう必要は無いかもしれない。
ユリウス達も笑顔を浮かべると、前に出したシャオリーの手に自分達も手を重ねた。
「あぁ!」
「頑張りましょう!」
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