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太輔side
直接別れを告げなかったのは
決心が揺らいでしまわないように
君の顔を見ると
甘えてしまいたくなるから
ごめんな…宏光
許してほしいなんて思わないよ…
ただ…幸せになって…
「太輔!!」
踏切を渡りきったところで
愛しい人の声が俺を呼び止める
「なんなんだよあれっ!!意味わかんねぇよ!!」
踏切が下りててよかった
今こっちにこられると
正直自分の感情を抑える自信がない
「なんで!?俺なんかした!?
別れるには理由が必要だろ!!」
答えられるわけない
君が悲しむくらいなら
いっそ
嫌われたほうがマシ
また振り返って歩きはじめる
もう振り向いてしまわないように
自分に言い聞かせながら
電車がきて
君の最後の言葉は聞こえなかったけど
これでいいんだと思う
落ち葉がざわめき
泣き声を隠してくれる
どんなに願っても
君の未来に 俺はいない
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