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絶対好きにならない。
そんなこと思っていたのに、あたしは簡単にアイツを好きになっていた。
「有り得ないってーの!」
机を勢い良く叩きながら声を張り上げているのは、紛れもないあたし。
深川 花梨(ふかがわ かりん)。
綺麗な顔立ちで所謂美人ってこと。スタイルも抜群らしくて、みんなからはいつでも視線がくる。
頭も悪くもないし、どちらかと言えば良い方で、運動神経もそこそこ悪くない。
顔良し。
スタイル良し。
性格良し。
何もかもがマイナスじゃなくて、プラスなのに…いまだに彼氏が出来ない。
男子から告白されることは、しょっちゅう。
でも、オーケーしない。
何故って?
好きな奴がいるからに決まってんでしょ。
その好きな奴のことで、今も私は声を張り上げていた。
「まあまあ、花梨。
落ち着いてよ。
別にいいじゃん。掃除が一緒になったぐらいでそんな嫌がらなくても。」
この子は、友達の由香里。親友かな。
「だって!
なんで私がアイツと2人で教室掃除しなきゃいけないのよ!」
「それは、朝倉くんに花梨がいつも喧嘩売るからでしょー?ホームルーム中に言うのは、良くないよ~。」
由香里は天使のような笑顔であたしを宥めてきた。
とりあえず、由香里に宥められると落ち着いてしまうあたし。
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