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母が亡くなって、母の思い出を誰かと語っていると、涙は出てきます。 けど、一人になると全然泣けません。 わーって大泣きしたいんですが… 全然込み上げてくれません。 それに、正直悲しいと言う気持ちさえない様な… 自分が薄情なんじゃないかとさえ、考えました。 今までだって、涙を流して来た事は沢山あります。 ただ… 身近な人程、最近は泣けないんです。 4年程前… 前に働いて居た会社の上司が脳腫瘍で亡くなりました。 接客が大好きな上司で… 社員を本当に大切にしていました。 何百人もの社員の中で、一番可愛がって貰ったんじゃないでしょうか… 脳腫瘍になった時も、私にきちんと報告をくれました。 必ず戻って来るからと… 確かに戻って来てくれました。 頭にネットを被ったまま、仕事に復帰をして… でも、それも長くは続かず、再入院。 当時の会社は規則が厳しく、個人的なお見舞いも会社から規制されてました。 それは、脳腫瘍の後遺症から、物忘れが酷くなり、お見舞いに行っても本人が分からない場合があり、混乱させてはいけないからとの理由でした。 でも、あの会社で私が昇格出来たのも、その上司がとても厳しく、温かく仕事を教えてくれたから。 どうしても、お見舞いに行きたかったんです。 私がその上司に可愛がって貰って居るのは、本部も知っていたみたいです。 社長始め、会社の幹部がお見舞いに行く時に、私は一緒に連れて行って貰う事が出来ました。 でも… 正直、忘れられているのではないかと不安にもなりました。 社長の事は何とか分かっても、他の幹部の事は分からなく、混乱していました。 幹部の方に背中を押され、一番後ろに居た私はようやく上司の前に立ちました… 「元気にやってるか…?」 社長達も驚いていましたが、私を目の前にした上司はいつもの凜とした優しい上司の顔になりました。 私はただ、頷く事しか出来ず、きちんとした言葉をかける事も出来ませんでした。 それからも治療を頑張り、また復帰出来たんですが… もう本当は治らない事を会社は知っていたんでしょうか… 上司が亡くなったと知ったのは、私が仕事を辞めて一年が経った頃でした。 久しぶりに前の会社の人達から、電話やメールが凄く来ました。
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