雪山にて

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 この道を下りて向こうの雑木林に出れば、麓の小屋まではもう一息だ。麓の小屋には山岳救助のできるスタッフもいるはずだ。ぼくも、かなりバテているけど、彼女とまた会えるんだと思ったら元気が出てきた。あと少し・・・。  あと少し、そう思った途端に、彼女の身体が急に重たくなった。  話しかけてみる。  答えがない。  ぼくの頬を、肩からのぞいている彼女の頬にそっとあててみた。  冷たい。  ぼくの胸に回された彼女の手にも、なんだか力がない。  ぼくは焦った。  焦ってなかば駆け下りた。  雪道で助かった。雪がこれだけ積っていなければ、でこぼこした林間の道をこんなふうに駆け下りることは難しい。  雪をかぶった林の木々の間から、少し、赤い屋根が見えた。  小屋だ。もうすぐだ。  息を切らして小屋に駆け込む。
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