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あれから、日が沈むまで逃げていた雪兎は、漆黒に染まった路地裏で壁にもたれ掛かり休んでいた
「ハァ…ハァ…逃げ…きったぁ…」
さすがに数時間単位で逃げ続けるのはキツかったらしく、息も絶え絶えになり、額に汗もにじんでいる
「アイツら…俺を見捨てやがって…今度会ったら…殴る」
暗い決意を固め、家へと足を向けた
「ん?アレは?」
雪兎が自宅の近くまで帰ってくると、自宅の前に二人立っていた
「おや、ようやく家主のお帰りですか…まったく、何処をほっつき歩いていたんですか」
「むぅ…遅いよ~。 僕、お腹空いたんだけど…」
「よし、貴様ら今すぐ帰れ!」
狼貴と麗斗の出迎えの言葉に、雪兎は即答で帰らせようとする。
だが、こいつらが素直に聞くはずもない
「お断りします♪ 私(の舌)は貴方に染められてしまいましたから♪」
「僕らを待たせたんだから、夕ごはんぐらいご馳走してよ~!」
狼貴は腐った女の子が聞いたら大喜びしそうな台詞で断り(確信犯)、麗斗は頬を膨らませ抗議する
まあ、この二人が雪兎の家で夕食を食べるのはいつものことなので、何を言っても無駄だと思ったようで…
雪兎は自宅の鍵を開けようと玄関の方に振り向いた
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