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音を少しだけたてて料理を自分の前に置く男。
顔を上げるが男は何も言わずにハンカチと得体の知れない料理を置いて、店を出て看板から何かを外して戻ってきた
カウンターに戻った男は黙ってこちらに背を向けコーヒーを啜っていた
ビジネスマン、親想いのその客は遠慮なく涙を木製のテーブルに零す。
墜ちた涙は木材に吸い込まれて模様を刻む。涙を拭い見れば、似たような木目がその近くにだけ刻まれていて、何故かそれが暖かく、また涙した
ドアが開く音がすると、店に女が入って来てこちらを見ることなく料理を下げながらキッチンに向かった。
涙がおさまった頃には二人が並んで綺麗な料理を目の前に並べていた。
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