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夜のコンビニ、レジ前。
『おでん下さい』
と言おうとして、その横。
俺は、にくまんのケースを見てしまった。
別に、カレーまんや、あんまんや、五目まんに興味はなかった。
ただ、にくまんと…
付いてくる酢醤油。
それが、おでんを買おうとしていた俺を誘惑していた。
レジで、俺の言葉を待つ女子バイト店員は高校生のようだ。
その視線が『どうすんの?』って聞いている。
髪の色が、渋皮入りモンブランみたいな子だ。
(モンブランか)
おでん、にくまん、酢醤油、モンブラン。
人生においては、どうでもいいものばかりだ。
「おでんと、にくまん下さい」
気付けば、おでんとにくまん(酢醤油)を俺は買っていた。
(もちろん、モンブランは買わなかった)
完全なる大人買い。
きっと、食いすぎて気持ち悪くなるだろう。
(だって俺、ほかにも買っちゃってるし。牛丼とか)
きっと高校生の俺なら、どっちかしか買わなかった。
それがどうだ。
大人になり、働き出すと食えない量の衝動買いだ。
(贅沢だ…そしてバカだ…)
(しょうがない。おでんは、明日の朝にしよう)
「朝から、おでんか。キツイな…」
でも、胃袋が『今日、食べるよりましです』と言っている。
おでんと、にくまん。
「にくまん優先か…」
俺は心で、おでんに謝っていた。
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