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ダラダラと飯を食っている内に父さんが帰って来た。僕の華奢な身体と違い大柄な父さんはどこかしら威圧感がある。
ただいまと言うなり座り込み黙ってテレビを観ている。
母さんが食事を運んで来ると、もう食べて来たからビールだけで良いと言う。
母さんは髪の事を聞いてくれるのを期待している様だが一向にその気配がない。
「お父さん、ビールは缶が一本あるだけです」
「なら買って来てくれ」
淡々とした口調に母さんは淋しそうに頷き、自転車で買いに出かけた。
父さんのその淡々とした雰囲気に僕は毎日苛立っていた。
「母さんが髪を染めていたのに気付いた?」
「いや。しかしどうでも良い」
「帰って来たら何か言ってやったら?」
「イワが髪を染めようが俺の知ったこっちゃない。それよりお前、早く勉強をしろ。前回のテスト、平均点が五十点なんて信じらんねえぞ。もう二年なんだから」
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