第一章

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ゲーセンに行く。そう決まっても目的地まで直ぐに行くことは無かった。と言うのも蔵元は寄り道が好きだからだ。 今日はゲーセンに行くのには遠回りな町外れを経由する。遠回りするのはの疲れるが。このメンバーだと話が膨らみやすく笑い飛ばせるので退屈な感じはしないのだ。何より、俺は蔵元自慢のビッグスクーターの後部座席に座っているだけだからなお更。 「だからさ、あそこの店は店員は可愛いけど、台は可愛くないんだよ。全然当たる気がしない。」 ヘルメットについてるイヤホンからビッグスクーターの運転手の声が聞こえる。どうやら、駅前のパチンコ屋の話らしい。蔵元はこういった賭け事が好きなのだ。 「あのな、そもそも高校生であるお前がなんでパチンコ屋に入れるんだよ。おかしくないか?大体、パチンコなんて物は、金を増やしたい欲求でやるもんだが、増えるのは一時的で総合結果を見れば大概がマイナスじゃないか。あれほど不利益な物は存在すら認めたくない。」 蔵元の問いに反感を込めたミヤの返答が返ってきた。耳元から聞こえる風と声の入り混じった聞き取りにくい音。コレは宮月の実家で作られたルメットでバイクを運転しているときも会話ができるように、と作られたトランシーバーヘルメットという商品の試供品だった。個人的に既に作られてそうな商品だと思いながらも、蔵元は好んで愛用している。ただ一言「重い」と感想を述べていたが・・・・・・
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