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「そんな事言われてもな~大体この間連れて行ったときは、お前上機嫌だったジャン。ミヤ、もしかして俺に言わずに打ちに行って負けでもしたの?」
「関係ないだろう。とにかくあんな物は不要だ。即刻禁止にでもするべきだ。」
「それができないからパチンコ屋は増えていくんだろ?金持ちなんだから一回負けたくらいだでグダグダ言うなよ。次は勝てるかも知れないぜ。なぁ裕也?」
会話を楽しんでいたいだけの俺にも話がふられた。
「ん、まぁ勝てるかどうかって、二分の一だもんな。」
「え、いや待てよ。それおかしくないか?胴元の儲けも入れてだな、こういった物はイーブンなんて事は・・・・・・」
「いや、だって勝つか負けるかだろ?」
秀才と呼ばれる宮月もこう言った極論は苦手のようで、極論を返すとすぐに黙り込む。ヘルメットからは「お前らしいな」という二人の笑い声が聞こえてきて、その声に釣られるように俺の声も混じっていった。
不真面目で、素行が悪い落ちこぼれ・・・・・・学校しか知らない校内の同級生は蔵元を評価する時にこう言うが、学校外を知っている俺と宮月は不真面目で自己中心的な達観者、と評価している。役者と観客だと若干評価が違う物だ。常に傍観者で居る事も重要かもしれないが、どうせなら常に演じる方で居たい。
俺の考えを変えたのはこの二人だった。でも、俺は自分が傍観者である事を理解していた。人はそう簡単に変われないものだ。
「ところでさ、この町外れにある廃ビルに幽霊が出るってお前ら知ってた?」
運転手はそういって静かに話題を変えた。
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