通り魔

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殺傷「はい……すいません……」 殺傷は手をギュッと握り締めながら元木に謝る。 その瞬間、元木に満面の笑みがこぼれた。 だがそれは決して『許してやる』と言う優しい笑みでは無く、『これをきにもっと苛めてやろう…』と言う、そんな表情だった。 そしてまだニヤニヤしながら元木は言う。 元木「全く最近の若い奴と来たら・・・ふぅ」 そして元木はわざとらしい溜め息をつく。 殺傷「・・・」 殺傷はワナワナと体が震えている。 今にも殴りかかりそうだ。 殺傷自身も今怒りに身を任せたい気分だろう。 でも殺傷は溢れんばかりの怒りを必死で抑える… まぁ平和主義者の殺傷にとっては人は殴りたく無いんだろう。 それと同時に素晴らしい程の正義感と責任感の持ち主である殺傷… なので殺傷は大きく息を吸って気を落ち着かせる。 元木「じゃあ分かった分かった……許してあげるからコレ……残業してでも今日中にやれよ!♪」 バサッ 元木はポンと殺傷の前に新たな書類を置く。 殺傷「……分かりました…」 そして殺傷は自分のデスクに座りパソコンを使う… 殺傷「終わりました!!!!!!」 ドンッ!!!! 殺傷は元木の前に書類を置くとそのまま家に帰る為にビルから出た… そして呟いた… 殺傷「殴ってはいけない……そんな事をしても何にもならない……」 その呟きは殺傷の優しさが十分伝わる… そんな平和主義の男が……… 人を殺すのか? 殺人鬼になるのか? ───そう思う人が大半だと思う。 でもなってしまった…………。 ネックキラーと呼ばれる。 史上最悪の殺人鬼に。 歪んだ悪はこの世界を揺るがし続ける───
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