小便をする漢(オトコ)達

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たとえば時を経て「ヤングでなくなった大砲」がどのように変形するかを同じように計算してみた。 短いがそのぶん時を経ても変形量の少ない「ジャパニーズな小砲」に対して、時代が流れヤングでなくなった「アメリカン・スタンダードな巨砲」はひどく変形してしまっている。 巨砲の台座である根本を固定してはるか上に向かって放水を行ったにしても、アメリカンな巨砲の先端部分は変形して下を向いてしまっているのである。 そうなれば、大砲から発射される放物線も低い弾道を描き、小便は遠くまで飛ばないわけで、アメリカンな巨砲主義から発射される小便は“American Standard”のターゲットを外してしまうかもしれないのである。 それに対して、質実剛健な竹槍のごとき「ジャパニーズ小砲」はほとんど曲がることもなく、失礼な“American Standard”便器をヤングな時代と同じように打破することができるかもしれないわけだ。 ……と、こんな「オトコのヤング率」について考えたのではあるが、ふと我に返ってみれば私たちは別に便器を前に飛距離競争をしていたのではないのである。 そもそも、日本人と違って股位置の高いアメリカンは大砲の角度を上に向ける必要はないのである。 取り付け位置の高い大砲ならば、別に大砲が下を向いていたってちゃんと便器内に放水できるのだった。 哀しいけれど、大砲の取り付け位置の高さが違うということは絶対的な差を持つのである。 というわけで、いくら時代の流れ・時の流れを考えても、日本人はいつまで経ってもアメリカン・スタンダードな便器に苦労し続けるだろうし、背の高い「アメリカン・スタンダードな巨砲」達はいつまで経っても軽々とダンクシュートのごとく小便を便器に命中させ続けるに違いないのであった。
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