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「僕らはリバーシブルなんだ。一定時間キスをすれば、ジャックがマリーに、マリーがジャックになる」
「ジャックとマリーという名前はね、私達2人の共通の名前なの。私達は魂を共有している、ジャックの魂とマリーの魂が、両方の器に入っているのよ」
魂だの共有だのといった次元の話に、マスケット達の頭は破裂しかけていた。
ガゼルなんかは熱を出す寸前である。
(マリーが言ってたのはこの事だったのか)
だがアンジェリカだけはいつかのマリーの話を思い出し、1人で納得していた。
林檎とオレンジに例えていたのが懐かしい。
マスケットは頭を掻きむしると、懸命に自身の頭の中で整理していた。
話を思い出して要約し、わからない所を明確にしていく。
「つまり2人の人格をお互い持ってて、キスをきっかけにそれが入れ替わっちまう――こんな感じか?」
「そうだね、だいたいそんな感じだ」
君の頭脳には恐れ入るよと、マリーは称賛の拍手を送る。
マリーの隣ではジャックがベッドから上半身だけを起こし、控え目に拍手をしていた。
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