性別リバーシブルと男女格差

5/32
前へ
/273ページ
次へ
「残念ながら原因は私達にもわからないのよ。物心ついた時には、コロコロと性別を変えていたから」 目を伏せて悲しそうに俯くジャック。 見ていて気が付いたが、マリーが女性の時よりも、ジャックが女性の時の方が控え目で大人しい話し方をしている。 魂を共有していても、性格は微妙に違うらしい。 「さて、ここまでで質問は?」 「――えーっと、じゃあ1つ良いッスか?」 ガゼルが律儀に手を上げて質問をする。 先ほどまでチンプンカンプンな顔をしていたが、どうやら上手く消化したようだ。 内容を理解しているかはまた別の話だが……。 「お2人の事、なんて呼べば良いッスか? えっと、特にマリ……いや、ジャックさん」 マリーと言おうとして慌てて言い直すガゼル。 マリーはそれを見て顔を綻ばせると、クスリと笑った。 相手の事を考えて気を使うガゼルの姿が、何だかとても可愛いく思えたのだ。 弟に欲しいかもなんて考えつつ、マリーは軽快な口調で話す。 「呼びやすい方で構わないよ。どうせ君たちはマリーの事を船長って呼ぶんだろ? だったらどちらでも問題ないさ。こんな身の上だし、マリーって呼ばれても抵抗はないから安心してくれ」 そう話すマリーはとても爽やかで、何だか清々しい印象を受けた。
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!

199人が本棚に入れています
本棚に追加