199人が本棚に入れています
本棚に追加
「残念ながら原因は私達にもわからないのよ。物心ついた時には、コロコロと性別を変えていたから」
目を伏せて悲しそうに俯くジャック。
見ていて気が付いたが、マリーが女性の時よりも、ジャックが女性の時の方が控え目で大人しい話し方をしている。
魂を共有していても、性格は微妙に違うらしい。
「さて、ここまでで質問は?」
「――えーっと、じゃあ1つ良いッスか?」
ガゼルが律儀に手を上げて質問をする。
先ほどまでチンプンカンプンな顔をしていたが、どうやら上手く消化したようだ。
内容を理解しているかはまた別の話だが……。
「お2人の事、なんて呼べば良いッスか? えっと、特にマリ……いや、ジャックさん」
マリーと言おうとして慌てて言い直すガゼル。
マリーはそれを見て顔を綻ばせると、クスリと笑った。
相手の事を考えて気を使うガゼルの姿が、何だかとても可愛いく思えたのだ。
弟に欲しいかもなんて考えつつ、マリーは軽快な口調で話す。
「呼びやすい方で構わないよ。どうせ君たちはマリーの事を船長って呼ぶんだろ? だったらどちらでも問題ないさ。こんな身の上だし、マリーって呼ばれても抵抗はないから安心してくれ」
そう話すマリーはとても爽やかで、何だか清々しい印象を受けた。
最初のコメントを投稿しよう!