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「あのね船長、あなた以外誰がこの船の船長やっていけると思ってんですか。みんな、あなたが大好きだから今回こんな無茶して助けたんですぜ? そんな悲しい事言わないで下さいよ」
そう言うマスケットの目はとても優しかった。
胸元のはだけたシャツからは、右肩を覆うように包帯が巻かれているのが見える。
彼がジャックを助ける為に負った怪我だった。
「だいたいおぬし、元々他のクルーに比べひ弱だったじゃろう。今更男も女もないわい」
「アタシ達は強い男に惹かれたんじゃない。船長の人柄に惚れたんだ」
アルバスとアンジェリカも温かい声を掛ける。
やはり2人も優しい目をしていて、ジャックは別の涙が零れ落ちそうだった。
「オレ、船長のあったかくて優しい所、大好きッスよ!」
ニコリと笑うガゼル。
ガゼルの言葉を最後に、ジャックの目から更に涙が溢れ出した。
先ほどまでと違い、その涙は温かい。
マリーはそっとジャックを抱き寄せると、その体を腕の中に収める。
服に染み込む彼女の涙が、自身の心の奥底にも染み渡っていくような気がした。
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