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あれからひとしきり泣いたジャックは、怪我をしているせいもあって泣き疲れて寝てしまった。
睡眠の邪魔になるからと、一行は甲板に移動する。
甲板の上では後片付けが行われていた。
ガゼルが補強してくれたおかげで船が大破する事はなかったが、それでも船首部分はボロボロだった。
現在地はフィスト島周辺の小島。
複雑な入江と巨大な岩壁を有するこの島に、ジャック達は停泊していた。
近くにはハーロックの船もあり、やはり修復作業が行われていた。
小島に辿り着いて半日、太陽は真昼の頂点の高さにあった。
気温と湿度が高く、汗が垂れてくる。
マリーは短くなった髪を撫でると、マスケット達に向き直った。
彼のサラサラの髪が、太陽光を反射して眩く光る。
「――マリーは可憐で誰にでも優しくて、太陽みたいに温かい女の子だった。他人の幸せを自分の事のように喜び、また不幸は一緒に涙を流す
僕にとって彼女は全てで、守るべき人なんだ」
唐突に語り始めるマリー。
その瞳はくすむ事なく澄み切っていて、空と同じ色をしていた。
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